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格闘小説家 夢枕獏の死、いや、物語師 夢枕獏の死

『新・餓狼伝 巻ノ五 魔拳降臨編』
を読んでショックだった。

この巻をもって、
リアル格闘小説『餓狼伝』は終わった。

餓狼伝』のような
出来るだけリアルに留まろうとする格闘小説は、
多分世界にこれだけだろう。
それが夢枕獏ファンの誇りだった。

それが、翁九心とい新キャラの登場で、
餓狼伝』はファンタジーになった。

わかりやすく説明すれば、
餓狼伝』の世界にオーガが登場したようなものだ。
100%存在しない人間ということ。

餓狼伝』では、
ギリギリ「こういう人はいるかもしれない」というのを保ってきた。

それが、磯村露風が出てきてからだんだんおかしくなり、
とうとう翁九心のようなキャラクターを出してしまった。

だいたいもうすぐ終わると言ってるのに、磯村露風という新キャラを出した時に、
正直「え?」と思った。
その上、ファンタジーの世界にしかありえない翁九心というキャラの登場。

そもそも磯村露風や翁九心のような新キャラを出さなくても、
それまでの登場人物に決着をつけていくだけでも、
相当なページ数がかかる。

もう過去の登場人物に愛着はないということか?

夢枕獏さんは、
とうとう痴呆症が始まったとしか思えない。

恐らく、『キマイラ』と同じく『餓狼伝』も未完となるだろう。

栗本薫さんは、
自分がこんなに早く死ぬとは決して思ってなかったと思う。

そういう作家の死を見たら、
無駄な話など書くべきではない、
とは思わないのか?

中学生の時から読み始めて、
約35年。
僕の中で、夢枕獏という作家は終わった。

ここまで裏切られたら、
「今まで面白い物語をありがとう」
という気も起こらない。