Internet 3原色 free, open, share

takabsd x iTakahiro x I,Takahiro

22歳の時に書いた夢枕獏作品が好きな理由

昔のblogのarticle(?)のrepost.

22歳の春、大学4年の時、ある出版社への就職の応募書類に書いた文章。

-------------------- start --------------------
最も影響を受けた本は、夢枕獏さんの描く物語だ.

彼の本の中から一冊を選ぶのは難しいが、あえてあげるなら「キマイラ・吼」シリーズだ.

物語の面白さは当然だけど、読み終わった後に何かしらのenergyを与えてくれる.
それは物語の中の登場人物が正に「生きている」からだ.

それぞれが完璧でなく、心の内に欲や執念、そして弱さを持っている.
そんな彼らが心の葛藤を繰り返しながら生きていく、そんな様(さま)がrealに、そしてsimpleに描き出されている.

そしてその欲や執念といったドロドロしたものを全て肯定してくれる.
人間は思うように生きてよい、そんなsimpleな答えを与えてくれる.

ドロドロしたものが、時に素晴らしく美しい情景の中に描き出される.
山のせせらぎの澄んだ水の中に一滴の血が溶けていく、そんな美しさがある.

今まで書いてきたことは、獏さんの全ての物語に共通することだけど、その要素が一番盛り込まれているのがこの「キマイラ・吼」シリーズだ.

とにかく獏さんの物語は面白く、不思議な活力を与えてくれる.

だから心にポッカリと空洞が出来た時、ダラダラとマンネリな生活が続いている時、私は彼の本を読んで気合を入れ直すのだ.
-------------------- end --------------------